有津倉のお念仏
有津倉のお念仏(うすむらのおねんぶつ)
市無形民俗文化財
昭和55年3月28日
この念仏は、大石区有津倉耕地(ここでは、小集落のことを「こうち」と呼んでいる) の主婦たちによって行われている念仏講です。毎年春、秋の彼岸の中日に行う「彼岸念仏」と、お葬式のあった家で、その晩に祭壇の前で行う「じゃんぼん念仏」との2種類に分かれています。双方とも南無阿弥陀仏を唱えますが、彼岸念仏は陽気、じゃんぼん念仏は悲し気な節回しで唱えます。
彼岸念仏の日は、昼食を食べたあと村中の女性は、念仏仲間の家を皆で順に回って念仏をあげます。小学生ぐらいまでの子ども達も一緒についていきます。座敷口から家に入った一同は、仏壇の前に輪になって座ります。長老格の女性が最初に念仏を唱えると皆それに合わせ南無阿弥陀仏を繰り返します。108個の玉のついた大数珠を左からたぐり右へ送り渡します。係の1人が、一万遍(いちまんぺん)と筆書きされた木札を一回りする毎に畳の上に置きます。これは百万遍念仏の回向(えこう)の名残でありましょう。最後は当番の家で念仏をあげ、そこで煮物や茶の接待を受けます。
この念仏がどの頃から始まったのか不明ですが、市内には同様の念仏が他地区にもみられます。しかし、女性だけの念仏は今は少なくなりました。
素朴ですが、念仏を通し祖先の霊を祭り、死者への供養をし、合わせてお互いの親睦をはかるという役目をもつこの念仏は、村落の構成の上で大きな意義をもっていると思われます。
所有者 (代表)個人
所在地 東御市滋野・大石地区
文化・スポーツ振興課文化振興係(文化財)
電話:0268-75-2717 | ファクシミリ:0268-63-5431
メール:bunka-sports@city.tomi.nagano.jp
更新日:2023年3月31日