乳幼児応急マニュアル
乳幼児期の成長はあっという間で著しいものです。何にでも興味を示し、なめたり触れたり、聞いて、真似をしながら成長していきます。
家の中には、乳幼児にとって意外と危険なものが多くあります。ちょっとした注意で未然に防げることがありますから、お母さん、お父さんとも目を離さないで見守ってあげてください。
必要な場合は、長野県小児救急電話相談にご相談ください。 『#8000』または0263-34-8000 です。 電話相談時間 毎日19時から翌日8時 |
こどもがかかりやすい病気
病気 | 主要症状および合併症 | ホーム・ケア |
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百日せき | 初期は鼻水、咳、くしゃみ等かぜの症状、乾いたコンコン咳が夜中明け方に強くでます。咳込んだ後ヒューと笛のような音をたてて長く息を吸い込みます。透明なタンがたくさんでます。咳のひどい時期がしばらく続きます。脳症、肺炎、気管支炎など合併することもあります。 | 早期発見、早期治療すれば軽くすむ刺激のある食物や飲み物(酢物、辛い物、炭酸飲料等)は避けてください。厚着をさせると咳込みやすいです。 |
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ) | 熱は出たり出なかったりします。発熱の1~3日後に片方の耳たぶ下に腫れが見られ押すと痛みます。2~3日するともう片方も腫れが見られます(片方ですむ子もいます)。骨髄炎、難聴、睾丸炎、卵巣炎等を合併しやすいです。 | 痛がる時は冷湿布。熱があって腫れのひどい時は静かに寝かせてください。外出や保育園は熱が下がって腫れが引いてからにしましょう。食事はのど越しの良い流動食を中心に、またすっぱい物は痛みが増します。水分はたっぷりと与えてください。 |
麻しん(はしか) | くしゃみ、鼻水、目やに等の風邪の初期症状39~40度の熱が続きます。口の中のほほの粘膜に白い斑点(コプリック班)がパラパラできます。下がった熱が再び上がりはじめると、顔や耳の後ろ、胸等に赤い発疹ができます。肺炎、脳炎、中耳炎など合併することがあります。 | 高熱の時は水分をたっぷり与えてください。胃腸の中まで発疹がでるので、のど越しが良く消化の良い高カロリーの物を与えましょう。 |
突発性発疹 | 突然39~40度の高熱が3日程続き機嫌が悪くなり、食欲不振、嘔吐、下痢等でぐったりすることがあります。熱が下がると色鮮やかな発疹が、胸、腹、背中、首顔、手足にまで広がります。のどの奥にも赤いポツポツができるが、かゆみはありません。 | のどが炎症をおこしているので、のどごしの良い物を与え、下痢がある時は水分の多い口当たりのよい物にしてください。 |
水痘(みずぼうそう) | 発疹のでる前日から38度前後の発熱があります。(でないこともあります。)お腹や顔に赤いあわ粒大の発疹がポツポツとではじめ、3~4日で全身に広がります。24時間位経つと発疹の中心に水泡がみられ、目・髪に中・口の中・舌等に広がります。 | 引っかいてバイキンが入らない様に注意してください。着せすぎは身体が温まってかゆみが増します。口の中に発疹がある時は水分の多い口あたりのよい物を与えてください。 |
手足口病 | 熱は出ないことが多く、出ても38~39度迄。1~3日で下がります。頬の内側の粘膜、舌、歯肉、唇等に赤いポツポツがたくさん出ます。手のひら、足の裏、ひざ、おしり等に米粒位の水泡を持った発疹が出ます。髄膜炎を合併することもあります。 | 固い物、辛い物、酸っぱい物はさけて口あたりのよい物を与えてください。入浴は、水泡が消えてからにしてください。 |
りんご病 | 熱は出ない事が多く、出ても38度以下で1~2日で下がります。両頬に、やや盛り上がった赤い発疹が広がり、りんごのような頬になります。りんごのほほから1~2日すると腕や太ももに赤い発疹ができて、地図のような模様に広がります。発疹はほてったり、かゆかったり、軽く痛んだりします。 | 高熱の時は、水分をたっぷり与えてください。胃腸の中まで、発疹が出るので、のど越しがよく消化のよい高カロリーの物を与えてください。 |
ヘルパンギーナ | 突然39度前後の高熱が1~3日続き、のどの痛みやのどの奥の、口蓋垂(喉チンコ)の上にたくさんの水泡ができます。赤ちゃんの時はよだれが多くなります。水泡がでてから2~3日すると、破れジクジクした潰瘍になり痛みます。 | 発疹が消えるまで家の中で静かに遊ばせてください。のどの痛みが強いので、口あたりのいいものを与えてください。 |
溶連菌感染症 | 突然、39度台の高熱が出て、のどが真っ赤にはれて痛みます。扁桃に白いブツブツができることもあります。鮮紅色発疹が全身に広がり、舌には白いコケ状のものができ、やがて赤くブツブツ状のいちごのような舌になります。中耳炎、腎炎、リュウマチ熱など合併することがあります。 | 口の中全体に赤い発疹ができ、物が食べにくくなります。固い物、辛い物、酸っぱい物はさけて、口あたりのよい物を与えてください。 |
伝染性膿か疹(とびひ) | エンドウ豆大の水泡が発生し、破れてかさぶたをつくります。その汁が他のところへついて、広がっていきます。 | 軽い痛みがあります。うつるので、かいた手で他のところをさわらないように、手はまめに洗いましょう。 |
インフルエンザ | 39度くらいの高熱が突然におこり、寒気がし頭痛、節々の痛み、鼻水、咳などが起こってきます。胸が痛くなることもあります。熱は、2~3日続き、その後熱が下がってからも数日は元気が出ません。 | 身体を休めて安静にしてください。 |
風しん(3日はしか) | 38度前後の熱が出て(出ない子もいます)はしかよりやや小さめの発疹が全身にぱっと広がります。発疹は3~4ミリの小さい赤いもの。耳の後ろやリンパ腺がはれて、グリグリすることもあります。関節炎、脳炎、紫斑病、脳症など合併する事もあります。 妊婦がかかると先天性風疹症候群になるおそれがあります。 | 発疹が消えるまで、家の中で静かに遊ばせてください。 |
誤飲 トップに戻る
乳幼児はなんにでも興味を示し、なんでも口の中に入れたがります。家の中にあるものはなるべくお子さんの目に触れないようにするか、手の届かない場所に置くよう心がけましょう。
普段から心掛けること
- 掃除はまめにしましょう。床の上の小さな物に注意してください。
- 引き出しや手の届く所に危険な物や異物を置かないようにしましょう。
- 口の中に物を入れたまま遊ばせたり眠らせたりしないようにしましょう。
- 壊れたおもちゃで遊ばないようにしましょう。
- 心配ないとき2、3日様子を見てください。
病院に行くときの注意
- 何をいつ、どのくらいの量を口に入れたのか確認してください。
- 身体を暖かく包んで、体温が下がるのを防いでください。
- 誤飲した物の残りや説明書があれば持参してください。
誤飲してしまった場合
次に掲げる事例は一般的なもので応急措置です。事後は医師と相談してください。
医療機関にかかるまでの間に家庭で行う応急処置
例 | 水を飲ませる | 牛乳を飲ませる | 吐かせる | 処置の理由 | |
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タバコ | 葉・吸殻 | × | × | ○ | ニコチンが吸収されるのを促進する恐れがあるため、数時間は飲食を避けてください。 |
タバコを浸した溶液 | ○ | ○ | ○ |
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強酸または強アルカリ(洗浄剤・漂白剤) | ○ | ○ | × | 誤飲時にのどや食道にやけどをしており、吐かせると再度やけどを受け症状が悪化するため、牛乳か水を飲ませ、医療機関へ。 | |
防虫剤 | ○ | × | ○ | 牛乳などの脂肪分に溶けて吸収が促進されるため。 | |
ホウ酸だんご(ホウ酸) | ○ | ○ | ○ |
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石油製品 | × | × | × | 吐かせると気管に入りやすく、化学性肺炎を起こす。牛乳、水などを飲ませると嘔吐を誘発するため、すぐに医療機関へ。 |
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医療機関にかかるまでの間に行う応急処置
部位や症状など | すぐ確かめること | 応急処置 | ホーム・ケアー | |
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打撲 | 頭 | 泣いたかどうか。名前を呼ばれて反応があるか。吐いたりしないか。 | 反応がなく、ぐったりしている時はすぐ病院へ。元気が良い時は、横抱き、安静、打った所を冷やしてください。 | 当日入浴を控えてください。2~3日様子の変化を見てください。 |
胸 | さわると泣くかどうか。軽く押さえると、火がついたように激しく泣くかどうか。 | 衣服をゆるめ、横抱きにして病院へ。 | 食欲、吐き気、機嫌の良し悪しをチェックしてください。 | |
腹 | 出血していないか。呼吸が苦しそうでないか。 | 食べ物や飲み物は与えないでください。 | 便の中に黒い物が混じっていないか確かめてください。 | |
歯 | ぐらぐらしたり、折れたりしていないか。 | ぐらぐらしたり、折れたりしたら、すぐ病院へ。 | 2~3日固い物は控えてください。 | |
すり傷、切り傷 | 何で切れたか確かめる。赤く腫れたり、熱を持っていないか確かめる。出血は止まったか。 | 傷が深い時は病院へ。傷口を水道水で洗い流し消毒液をつけてください。 | 2~3日経ってもジクジクしていたり、4~5日してもかさぶたが出来ない時は受診してください。傷が浅い時はそのまま乾かすと治りが早いです。 | |
やけど | やけどした箇所の原因を確かめ、痛みが強く激しく泣いていないか。ショック症状があるかどうか。 | 水道水を流しっぱなしにして冷やしてください。(全身やけどの時はバスタオルをぬらして包んだまま運びます。)すぐ、病院へ行きましょう。 | 水ぶくれは、つぶさないでください。湯たんぽなどの低温やけどは、深いので病院へ。 | |
骨折・脱臼 | 痛めた箇所にふれると痛がり激しく泣くか。 | 外傷や出血があれば水で流して消毒、ガーゼで止血。動かさずに受診してください。 | 冷やすと痛みが和らぎます。 | |
虫さされ | 虫の種類と刺された箇所を確かめる。 | ハチに刺され痛みやはれがひどくなりそうな時はすぐ受診してください。水道水で刺された所を良く洗いむやみに掻かないようにしてください。 |
更新日:2024年4月1日