百体観音石造町石

百体観音石造町石（ひゃくたいかんのんせきぞうちょうせき）

市有形文化財・石造文化財

昭和42年3月27日指定

祢津の新張（みはり）から地蔵峠を越えて、旧鹿沢（かざわ）温泉に行く間の山道（約12㎞）の脇には、一番から百番までいく種類かの観音様が、1町（約110ｍ）ごとに祀られています。これは、町石(丁石:道の脇１町ごとに立てた石)と、観音信仰を兼ねたもので「百体観音石造町石」と言います。
鹿沢の湯泉は、大変体を丈夫にするということで、昔から多くの人々の湯治場（とうじば・体の悪い所をなおす湯）となっていました。この峠越えの険しい山道「湯道」（ゆみち）を観音様を拝みながらそのお力にすがり、さらにお湯に入って体を丈夫にしようとしてつくられたものです。百体観音像は、江戸時代の終わりごろの文久4年（1864）から明治6年（1873）の約10年間につくられました。つくることを願った人は、鹿沢温泉の楢原所右衛門（ならはらしょうえもん）たちで、実際に世話をしたのは新張村で、資金の寄附者は地元だけでなく他府県に及んでいます。
この新張に、大きな美しい「如意輪観音」を一番として、村中でつくりました。地上からの高さは約2.7ｍです。明治2年（1869）に伊那の高遠の石工、中山暉雲（なかやまきうん）の手でつくられました（一番と百番・他は不明）。百番観音は、旧鹿沢温泉の脇に立っています。明治初年まで鹿沢温泉は祢津領でしたが今は群馬県ですから、一番から峠頂上の八十一番（峠頂上）までが東御市です。なお、百体観音は、旧道から車の通る新道に移されています。

所有者　新張区

所在地　東御市新張一帯

　 更新日：2023年3月31日